90年にほぼ原型に近い形に修復された版(従って本篇の前に、そのいきさつの解説が若干つく)の公開によって、日本でもようやく一般に見られるようになったJ・ヴィゴの傑作である。アタラント号とは、ル・アヴールとその上流の田舎町を往復している艀。その若き船長の新妻が都会の誘惑にかられ、パリに近づいた折りにこっそり抜け出すが、怒った夫は彼女を置いて出航する。しかし、愛妻なしの彼はまるで腑抜けで、急に川に飛び込み、彼女の幻影を見たりしている。一方、妻はひったくりにあい、帰るに帰れず、同船している老水夫ジュール親爺(M・シモン)により、ようやく探し出される。話は俗なものだが、詩的で自由奔放な表現、キャラクターが際立つ肉体性の把握、溢れるユーモア……映画の官能が蒸気となって観客を包み込んでしまう、これは聖なる映画と言えるかも知れない。何度観てもはぐらかされ、不安なときめきを覚える。幼い子供と遊ぶのに似た、つき詰めようのない快楽を帯びた映画。M・シモンの醜い外見に惑わされてはいけない。彼こそが天使だ。
題名 | アタラント号 |
---|---|
年 | 1934 |
ジャンル | ロマンス, ドラマ, コメディ |
国 | France |
スタジオ | Jean-Louis Nounez |
キャスト | Michel Simon, Dita Parlo, Jean Dasté, Gilles Margaritis, Louis Lefebvre, Maurice Gilles |
クルー | Louis Chavance (Editor), Francis Jourdain (Art Direction), Jean Vigo (Director), Maurice Jaubert (Original Music Composer), Jacques-Louis Nounez (Producer), Roger Parry (Still Photographer) |
キーワード | depression, marriage, surrealism, underwater, barge, marital problem |
リリース | Apr 24, 1934 |
ランタイム | 89 分 |
品質 | HD |
IMDb | 7.50 / 10 沿って 423 ユーザー |
人気 | 10 |
予算 | 0 |
収益 | 0 |
言語 | Français |